高度先進医療とは、厚生労働大臣が定める先進性の高い医療技術のことを指す。公的医療保険の対象にすべきか評価の段階にある治療や手術で、診察料や検査料、投薬料は保険適用となる。一方、技術料に関しては公的医療保険の対象外となり、全額自己負担だ。2020年10月の時点で、先進医療は80種類ある。その中でも、保険医療に移行する可能性が高いグループと、科学的証拠が乏しいと判断されるグループに分かれる。
高度先進医療で特に注目度が高いのが、重粒子線治療と内視鏡手術支援ロボットだろう。まず、重粒子線治療は、炭素の原子核を加速化させた重粒子線を照射する治療法だ。X線や陽子線よりがん細胞を破壊する力が強く、ピンポイントで病巣を狙い撃ちできる。手術では、切除が困難な部位にあるがんや放射線治療が難しいがんにも有効で、身体への負担を抑えられるのだ。
内視鏡手術支援ロボットは通称「ダヴィンチ」と呼ばれ、腹腔鏡手術支援の役割を担う。患者の腹部に小さな穴を開け、鉗子やメスなど手術器具を取り付けたロボットアームと内視鏡を挿入する。執刀医はモニター画面を見ながら、ロボットアーム操作して手術を行う。
手術に用いる鉗子は、人の手首や指と同じようにスムーズに操作可能で、狭い空間でも良好な視野を維持できるのがメリットだ。小さな傷口に抑えることで術後の傷跡が目立たず、炭酸ガスで腹腔内を膨らませて手術を行うため出血量も少ない。患者にとっては身体への負担が少なく、回復が早く見込める点も魅力と言える。